アルミ鋳物の製造でも用いられる、消失模型鋳造法(ロストキャスティング)についてご説明いたします。
※この記事は2023/02/16に修正しました。
鋳造の基本は「鋳造とは」の記事を参考にしてください。
他の鋳造法については下の記事を参考にしてください。
消失模型鋳造法【ロストキャスティング】とは
消失模型鋳造法(Lost casting method)は、製品(鋳物製品)と同じ形状の模型を発泡スチロールで作り、これを鋳物砂の中に埋め込んで、模型部分に溶湯を鋳込んで、模型を燃焼・気化させ、できた空間部を溶湯が満たすことで鋳物を作る鋳造法です。
鋳型の中にある発泡スチロール模型が、瞬時に溶湯に置き換わるために「消失模型」鋳造法といわれています。この方法は1950年代にアメリカで開発されました。
消失模型鋳造法のメリット・デメリット
消失模型鋳造法では、製品と同一な形状の模型を使用するため、中子を必要としないので中空製品や複雑な形状の製品も簡便に作ることができます。また、消失模型鋳造法では、模型が燃焼・気化してなくなるので抜け匂配を設定する必要がなく、鋳物製品の形そのままに発泡スチロール模型を設定できます。
木型を用いる鋳造法では、鋳型から木型を抜くために型分割面を設定しますが、失模型鋳造法では発泡スチロール模型を丸ごと砂の中に埋めて鋳物を作るため、分割面が不要で上形と形の合わせ目の部分で鋳バリが発生しません。
1つの型で1つの鋳物を作る「1対1」の鋳造法(単品鋳物)なので、少量生産の鋳物でよく用いられ、工作機械のベッドや美術工芸品など幅広い分野でこの鋳造法が採用されています。
量産鋳物製品には向きません。
消失模型鋳造法のメリット・デメリット一覧
【利点】
- 中子が不要であるため、複雑な鋳物を簡単に作ることができる
- 設計変更による模型の修正が容易
- 抜け匂配が不要で設計上の制約が少ない
- 模型のみきり面が不要であり、鋳バリ発生少ない
- 木型が必要ないため、単品鋳物の場合の納期が短くなり、コストが安くなる
- 3D CAD/CAMで加工できるので低コストである
- ソリッドデータで保管するので、木型の保管が不要である
【欠点】
- ・製品1つに1つの模型が必要になる
- ・模型の強度が弱く、砂の重さで変形したり欠けたりする
- ・発泡スチロールの燃焼ガスが発生する
- ・発泡スチロールの燃焼残さがある
- ・塗型ノウハウの蓄積が必要である
引用参考文献:わかる! 使える! 鋳造入門 西 直美 (著)日刊工業新聞社
消失模型鋳造法の製造工程
模型製作は、発泡スチロールのブロックからCAD/CAMを用いて削り出して接着剤などを用いて組み立てるか、鋳物と同じ形状の金型を用いて発泡成形する方法があります。
発泡スチロール模型には、焼付き防止のために表面に塗型を施します。鋳枠に発泡スチロール模型を入れた後に砂を投入し、振動を加えてすみずみまで重鎮させます。
湯口から溶湯を注湯する工程では、鋳造過程で発泡スチロールを完全に気化させるため、鋳込温度を高く設定し、鋳込速度を速くします。鋳物が凝固・冷却した後、型ばらしを行い、鋳物と湯道、砂を分離します。
消失模型鋳造法【ロストキャスティング】まとめ
消失模型鋳造法は、方案付きの発泡スチロールの模型を乾燥砂中に埋め込み、方案部に溶湯を注湯することで、発泡スチロールの模型を気化させて溶湯と置き換え、鋳物を作るプロセスです。
私たちは、消失模型鋳造法(ロストキャスティング)をはじめ多様なアルミ鋳造方法の制作実績がございます。お客様のご要望をお聞きした上で、最適な鋳造方法をご提案いたしますので、是非一度ご相談ください。