アルミ鋳物の製造法の一つ、ダイカスト(ダイキャスト)についてご説明いたします。
※この記事は2023/03/12に修正しました。
鋳造の基本はこちらの記事を参考にしてください。
ダイカスト法とは
ダイカスト法は、金型鋳造法の一種で溶融金属を精密な金型の中に高圧力を加えて充填して凝固させる鋳造方式です。
得られた鋳物もダイカストと呼ばれます。
一般的なダイカスト法では、金型内に充填されるときの溶湯の速度は30~70m/sできわめて速く、0.1s以内の短時間に充填が完了します。また、充填完了後には30~100MPaの高い圧力を加えて短時間に凝固させます。
ダイカストマシン
ダイカストに使用される鋳造機には、
- コールドチャンバーダイカストマシン
- ホットチャンバーダイカストマシン
があります。
1.は、主にアルミニウム合金に使用されます。2.は、主に亜鉛合金やマグネシウム合金に使用されます。
ダイカストに使用される金型
ダイカストに使用される金型は、固定型と可動型で構成され、2つ合わせることで溶融金属が鋳込まれて製品となる空間(キャビティ)が形成されます。
固定型は、ダイカストマシンの固定盤に取り付けられ、溶湯を鋳込むための鋳込み口ブッシュがあります。
可動型は、同じく可動盤に取り付けられ、押出機構として製品を押し出すための押出ピンとそれを動かす押出板があります。片開き方向と垂直な面の鋳抜き穴などは、引抜き中子を用いることで形成します。
キャビティを構成する入れ子は、溶湯と直に接触するため耐熱性に優れたSKD61などの熱間ダイス鋼が用いられます。
入れ子は、焼入れ・焼戻しを行い硬さを高くし、キャビティ表面には、寿命向上のために窒化処理を行います。
入れ子をはめ込むおも型(ホルダー)は、炭素鋼、鋳鉄、鋳鋼などが用いられます。金型内には、鋳込まれた溶湯の熱を奪うための冷却が配置されています。
ダイカスト法を使用した鋳物の用途
アルミニウム合金では、シリンダブロック、ロッカーカバーなどの自動車部品やエスカレータのステップなど多くの製品に使用されます。
亜鉛合金では、自動車のドアハンドルやドア取手などのめっき品や塗装品などに使用されます。
マグネシウム合金では、軽量性を活かしてノートパソコンやデジカメの筐体などに使用されます。
ダイカストの利点と欠点
ダイカストの利点と欠点の一覧表。
利点 | 欠点 |
---|---|
・生産性に優れる(ハイサイクルで鋳造) ・寸法制度に優れる ・鋳肌面が綺麗で滑らか ・薄肉製品に向いている ・鋳放しでの機械的性質に優れる ・リサイクルが容易である ・鋳抜き穴が容易に作れる ・インサートの利用が容易である ・大量生産に向いている |
・製品内のガス量が多く、溶接やT6熱処理ができない ・鋳造による欠陥発生がある ・アンダーカットが不得意(特に中空品は難しい) ・設備費、金型費が高い ・少量生産には不向き |
引用参考文献:わかる! 使える! 鋳造入門 西 直美 (著)日刊工業新聞社
ダイカストまとめ
ダイカストは、精密な金型に溶湯を高速・高圧で射出、充填する鋳造法で短時間に薄肉で寸法精度に優れた鋳物を生産することができ、自動車部品を中心にさまざまな部品に使用されています。
当社では、ダイカストをはじめ様々なアルミ鋳造方法の実績がございます。お客様のご要望をお聞きした上で、最適な鋳造方法をご提案いたします。是非一度ご相談ください。