アルミ鋳物の製作で鋳造条件の選定はどのようにするか?は重要です。
鋳造作業を行う前に、良品を得るために適切な鋳造条件の選定が大切になります。

今回は、鋳造条件の選定と各項目の目安についてご説明いたします。

鋳造の基本は「鋳造とは」の記事を参考にしてください。

鋳造とは

適切な鋳造条件を選定するための項目

鋳造温度

鋳造温度は、保持炉内の溶湯の温度で、鋳造方式(コールドチャンバ、ホットチャンバ)、鋳造合金によって異なります。鋳造温度が低すぎると湯流れ性が阻害されて湯回り不良が発生し、鋳造温度が高すぎると、溶湯の酸化がいちじるしくなったり金型の浸食が起こりやすくなります。

【目安】コールドチャンバでは鋳造合金の液相線+80~100℃、ホットチャンバでは+20~40℃。許容範囲は±10℃。

金型温度

金型温度は、型締直前のキャビティ表面の温度のことで、一般的に150~250℃を目安とします。120℃以下では離型剤が付着しなかったり、金型に水分が残りガス発生の原因となったりします。また、350℃を超えると焼付きを発生しやすくなるので注意が必要です。

【目安】金型温度は、型締直前の金型キャビティ表面の温度で150~250℃を目安。

充填時間

充填時間は、ゲートから射出された溶湯がオーバーフローを含めた金型キャビティを充填する時間で、製品の肉厚が薄いほど短く設定します。製品肉厚から計算される許容充填時間以内に充填を完了することが要求されます。許容充填時間の計算式はさまざまな式が提案されていますが、1例として(3.3.1)に示したF.CBenettの提案した式があります。

【目安】充填時間は、ゲートから流入した溶湯が金型キャビティを充満するまでの時間で、肉厚によって決まる。一般肉厚では、20~100msが目安。

低速温度

低速温度は、遅すぎると射出スリーブ内での溶湯凝固が進み、破断チル層などが発生しやすくなり、速すぎると射出スリーブ内の空気を巻き込んでブローホールの原因となります。

【目安】肉厚製品では0.15~0.20m/s、一般肉厚では0.2~0.3m/s、薄肉製品では0.3~0.4m/sを目安。

高速速度・ゲート速度

高速発生は、許容充填時間から選定されます。高速速度が遅すぎると充填不良を発生し、速すぎるとゲート部や金型キャビティの浸食が起こりやすくなります。ゲート速度は、高速充填時にゲートを通過する溶湯の速度で設定されます。

【目安】高速温度は、充填時間によって選定され、通常は2~5m/sの範囲で選定される。ゲート速度は、溶湯が噴流で流入させるため、30m/s以上が必要で、一般的には40~50m/sが推奨される。60m/sを超えると金型との焼付きや浸食が起こりやすくなる。

高速切り替え

低速から高速への切り替えは、通常は溶湯がゲートに達した時点で行われます。射出プランジャが高速で移動する距離を高速区間といいます。

【目安】低速から高速への切り替え位置は、ゲートに溶湯が到達した位置を目安。薄肉製品は湯回り性をよくするためランナー内で切り替え、厚肉製品で鋳巣を低滅する場合は製品内で切り替える場合がある。

鋳造圧力(増圧)

鋳造圧力は、キャビティに溶湯を充填完了後に、プランジャから付加される圧力です。鋳造圧力が高いほど、鋳巣の発生が抑制されますが、高すぎると鋳バリや寸法不良を発生します。また、低すぎると充填不良やひけ割れ、鋳巣などを発生しやすくなります。

【目安】コールドチャンバでは通常は40~80MPa、ホットチャンバでは10~20MPaが目安。圧力が高い方が鋳巣の発生が少ない。

キュアリングタイム

金型キャビティの溶湯が凝固し、取り出し可能な温度になるまで、ダイカストが冷却するまでの時間をキュアリングタイムといいます。

【目安】充填完了から型開きまでの時間で、製品の肉厚、大きさに依存。

そのほか

【サイクルタイム】1つのダイカストが鋳造される時間(タクトタイム)のことで、ダイカストマシンのサイズ(型締力)に依存。

【ビスケット厚さ】ビスケットは、金型キャビティに鋳造圧力を伝達する役割で、15mmより薄くなると圧力伝達が不十分となる。

鋳造条件の選定まとめ

鋳造条件の選定は、ダイカスト製品の品質や生産性などに大きく影響するので原理・原則に基づいて事前に十分に検討する必要があります。 

 

 

引用参考文献:わかる! 使える! 鋳造入門 西 直美 (著)日刊工業新聞社

 

 

当社は、様々なアルミ鋳物の設計・製造の多数実績がございます。

お客様のご要望をお聞きした上で「最適な設計・法案」で製造いたしますので是非一度ご相談ください。

大阪・近畿はもちろん全国のアルミ鋳物製造依頼に対応いたします!