鋳物の基礎知識として、鋳造法以外の金属加工法についても知り比較することは大切です。ご希望の製品を創る上で、「鋳造という方法が適しているのか、それとも他の製造技法の方が適しているのか」を判断することができます。
※この記事は11月25日(土)追加・修正しました。
鋳造の基本は「鋳造とは」の記事を参考にしてください。
金属加工法① 鍛造加工とは
鍛造(たんぞう)加工とは、被加工剤に圧力を加えて塑性(そせい)変形させて目的の形状に成形する方法です。人類が最初に金属を加工したのは鍛造加工であるいわれ、刃物や武具、金物などの製造技法として用いられました。
鍛造加工の特徴と対象金属
【概略】
素材に打撃・加圧などの機械的な力を加えて成形する
【特徴】
- メタルフローが得られ強度が向上する
- 組織が緻密で内部欠陥がない
- 機械加工が省略、または節減できる
【対象全属例】
鉄、銅、チタン、アルミニウムなど
金属加工法② プレス加工とは
プレス加工は、金型の間に板状の金属をはさみ、工具(パンチ)によって強い力を加えることで、素材を工具の形に塑性成形させる方法です。加工速度が速く、低コストであることが特徴です。
プレス加工の特徴と対象金属
【概略】
対になった金型の間に挟んだ素材に強い力を加えることで成形する
【特徴】
- 加工速度がいちじるしく速い
- 製造コストが低い
- 薄肉化が可能
- 形状の自由度が低い
【対象全属例】
鉄、銅、チタン、アルミニウムなど
金属加工法③ 鋳造加工とは
鋳造(ちゅうぞう)加工は、金属を加熱して溶融し、鋳型(いがた)の空洞部に流し込んで冷やして目的の形状に固める加工方法です。形や大きさの自由度が高く、溶かすことができる金属であれば鋳造できます。
当社が専門的に取り扱っている加工法です。当社を含め、鋳造法を専門に取り扱っている企業を「鋳造メーカー」または「鋳物メーカー」と言います。
取り扱い品目等は事業紹介をご参照ください。
鋳造加工の特徴と対象金属
【概略】
溶解した金属を型に注入して冷却・凝固させて成形する
【特徴】
- 形状・大きさの自由度が高い
- ほとんどの金属に適用する
- 1個でも数万個でも同じものができる
【対象全属例】
鉄、銅、チタン、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛など
金属加工法④ 切削加工とは
切削加工は、金属素材を工具と呼ばれる刃物で不要な部分を除去することにより、目的の形状、精度に加工することです。高精度で複雑な形状の加工ができることが特徴です。
切削加工の特徴と対象金属
【概略】
溶解した金属を型に注入して冷却・凝固させて成形する
【特徴】
- 形状・大きさの自由度が高い
- ほとんどの金属に適用する
- 1個でも数万個でも同じものができる
【対象全属例】
鉄、銅、チタン、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛など
金属加工法⑤ 溶接加工とは
溶接加工は、2つ以上の部材を、アークやアセチレンガス燃焼炎などで加熱溶融して一体化させる方法です。製作費が安価にできたり、工数の節減ができたりなどの特徴があります。
溶接加工の特徴と対象金属
【概略】
2つ以上の部材に熱を加えて溶融・一体化させて成形する
【特徴】
- 製作費が安価にできる
- 工数の節減ができる
- 変形・膨張収縮、残留応力による破壊が起きることがある
【対象全属例】
鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛など
引用参考文献:わかる! 使える! 鋳造入門 西 直美 (著)日刊工業新聞社
金属加工法のまとめ
金属の加工法には、鍛造、プレス、鋳造、切削、溶接などさまざまな工法がありますが、鍛造と鋳造がもっとも古くから行われている加工法です。加工する材料、部品によってそれぞれ使い分けされます。
鋳造と競合する加工法は、鍛造です。鍛造品は、素材の鋳造組織が塑性変形により破壊されてメタルフローが得られ、また組織が緻密で内部欠陥がないため鋳物より強度が向上します。しかし、加工工数が多くなるので、鋳物にくらべてコストが高くなります。また、あまり複雑な形状の製品の成形は難しいといわれています。
今回の記事が、ご希望の製品を創る上で、「鋳造という方法が適しているのか、それとも他の製造技法の方が適しているのか」の判断のお役に立てば幸いです。
もし、判断が難しい場合はお気軽に当社にご相談ください。
当社では、様々なアルミ鋳造方法の実績がございます。お客様のご要望をお聞きした上で、最適な製造方法をご提案いたしますので、是非一度ご相談ください。